
努力も必要です。 さらに、食料の輸出も、実現できるよう努力しています。農民が農業生産にある一定の費用を使ったとすると、政府は、その生産費を考慮した最低価格を設け、買い取りに際してそれを農民に保障するわけです。農業も他の産業と同じようにきちんとした保障を農民に提供しています。 しかしながら、産業分野、工業分野で見られる罰則は農民には与えられていません。農業の開発及び農産物の生産性向上が私どもにとって非常に重要です。 私どもは十分な食料生産を農業分野で実現することを大きな目標としています。が食料問題とは、食料生産及び備蓄、輸送、物流などすべてを含めた総合的な問題です。農民が作ったものをスムーズに流し、国民がその食料を獲得できる制度を確実に作り、販売価格もコントロールしていかなければいけないのです。これらの手段を使って、私どもは1600万トンの食料穀物を確保しようと努力しています。 これらが実現できれば、食料問題と食料安全保障の問題も解決されていくと考えています。 シフ・カレー(司会) ありがとうございました。では、次に川野先生お願いします。 川野重任:リソースパーソン(日本) 簡単に申し上げます。 1947年に国連で『途上国の経済開発のための主要戦略(Measures for the Economic Development of Under Developed Countries)』というリポートを出しています。そのリポートが出たときに、これでうまく成功するだろうかと懸念しました。 その内容は、「人間はいくら努力してもその努力の結果が報いられないときには、遂には努力そのものをしなくなるものだ」という基本的な考え方に立って、途上国の場合、何よりもまず必要になるのは社会的な改革である。極端な上下の社会階層のある現状を変えなくてはならない、そして人口増加を抑制する一方、教育の普及・徹底を図らなければならない、それが発展のための基本条件だとしています。 そしてそのうえに技術革新、そのための投資の促進、貿易の推進、国際協力、国際援助の必要性などを強調してますが、それから50年近くたった今日、人口増加率も経済成長率もその当時想定された水準よりもはるかに高く、大きなものとして実現されるに至っています。 当時、人口増加率は1.25%程度に抑えることを前提としての想定でしたが、結果はなんとその2倍以上になり、しかも経済成長率もはるかに予想を上回ったものとして実現しています。当然、食料供給も、その需要増加に見合うものとして増産を果たし
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